KILLING ROMMEL

砂漠の狐を狩れ (新潮文庫)

砂漠の狐を狩れ (新潮文庫)

砂漠の狐を狩れ』スティーヴン・プレスフィールド〈新潮文庫フ53-1〉
超燃え小説炎の門―小説テルモピュライの戦い (文春文庫)の作者の新作ということで着手。

その部隊の任務は、独の英雄ロンメル元帥の殺害だった――。1942年、英国陸軍に志願した若き青年が北アフリカの地に降りたつ。大学をやめ、愛する女性を残し、希望に燃えて。配属先は長距離砂漠挺身隊。大海同様の航法術で広大な砂漠を走破し、積荷や燃料補給の失敗ひとつが死を招く。実在した特殊部隊の知られざる作戦を辿り、ひとりの青年の青春と成長を描いた正統派戦争冒険小説。

デザートシボレーとジェリカンでハァハァしますよ(元タミヤっ子)
ミリタリーもの自体への個人的なスタンスは、『ああ探』に出てきた涼子さん曰く「人殺しの機械にうっとりしてんじゃねーよ!」に近いんだけど、でも、やっぱロンメルはカッコイイよなぁ。
物語は戦闘シーンよりも、砂漠→故障→燃料→砂漠……のループで、灼熱の地獄で生き残っていくために自ずと人間の内面に向かっていく。
長距離砂漠挺身隊が上官も部下も区別なく働き、また、ドイツも陣営が異なっただけで、個人としてはけっして憎んでおらず、極限状態の中、人としての尊厳、誇りを持ち続けることによって、生を許されていく。
おそらく、そのイコン的な人物がロンメルなんだろうね。
文章は淡々としていて、激しさは熱砂に埋もれているんだけど、その根っこにはやはり『炎の門』と同じく燃え描写が潜んでいる(笑)