AMERICAN GODS

アメリカン・ゴッズ 上

アメリカン・ゴッズ 上

アメリカン・ゴッズ 下

アメリカン・ゴッズ 下

アメリカン・ゴッズ』ニール・ゲイマン角川書店
訳されるのをずっと待ち続け、ようやく発売!

模範囚として、出所まで数えるほどになったシャドウ。しかし、その二日前に、妻と親友が不倫の末、交通事故死したと知らされる。失意の彼の前に、ウェンズデイと名乗る奇妙な男が現れる。自分の指示に従ってくれという彼の仕事を引き受けた瞬間から、シャドウは古代と現代の神々の戦いに巻き込まれていくことに……

物語のあらすじだとこんな感じだけど、根っこの部分は、移民とともにアメリカに渡ってきた各国の神々たち。しかし、信仰と記憶が薄れるとともに彼らの力も弱くなり、人々の間で細々と暮らしていた。一方、ハイウェイやクレジットカードなどの新しい神々は絶大な力を持っていた。その両者が存在を賭けて最後の戦いを迎えようとしていた、というかなりそそられる内容。
ただ、ゲイマンって、良くも悪くもライトなんだよね。絵本とかコミックだと、絵がそれを十二分に補うし、短篇もそれほど気にならないんだけど、長篇なると、どうもそれがテーマに対して物足りなく感じてしまう。
楽しみにしていただけに、それが不安だったんだけど、杞憂に終わりました。
神々の戦いというと、壮大になったり、逆にコメディタッチになりがちだけど、最後までどちらに偏ることもなく、シリアスなのにどこか力が抜けた感じが、神話≒フォークロア≒ホラ話、という構造にマッチしている。
というわけで、満足の作品。
巻末に登場した神々の人名事典があるんだけど、髑髏の首飾りと三日月形の鉾を持った中国人とか、日本の狐の説明がスルーされているのが、かなり片手落ちで興ざめ。あと、誰にも気づかれない、チャコールグレーのスーツの男は誰?