監禁淫楽
- 作者: 七北数人
- 出版社/メーカー: 筑摩書房
- 発売日: 2000/11
- メディア: 文庫
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超久々に日本人アンソロジー。
収録作品
題名の通り、監禁をテーマにしたアンソロジー。
『ナイトメアー・ビフォア・クリスマス』と『タイドランド』を比較した時と同じ感想を持ちました。
男性・女性作家で完全に視点が違い、男が対象に自己の欲望を投射するのに対して、女は内で自己完結するんだよね。まさに、肉欲と情念の違い。男がダッチワイフを欲しがるのに対して、女性は着せ替え人形なのね。
お気に入りは(と書くと誤解を受けそうだけど)、
・「ズロース挽歌」
死期の近い囚人から、話を聞いてほしいと頼まれた記者。
彼は、女学生を監禁し、数ヶ月間、夫婦のように暮らしていたのだ。
彼が幼い頃から抱いていた欲望とは?
生理的にけっこう来ます。
ラストの呆気なさもなかなかいい。
ネタバレになっちゃうけど、『完全なる飼育』って実話を元にしてたのね。知りませんでした。
・「おれの人形」
念じただけで触ってものを石化できる男。
ある日、大学のマドンナを家に連れ込み、彼女を……
監禁=生きたダッチワイフの入手、という見方では直球の作品。
残酷きわまりなく、胸くそ悪くなる作品。
鬼畜という点では、これが最高。
・「女形の橋」
元女形の語る、生まれ故郷の村の民謡。
それは、悪食べという職の男を歌ったものだという……
いわゆる監禁とは毛色が違うんだけど、
ある種の入れ子構造なんだけど、それが逆に現実味を増し、その境目が曖昧になって、向こう側にひっぱられるような作品。
民謡も、「竹田の子守唄」を連想させるなぁ。