Дьяволиада
- 作者: ミハイル・ブルガーコフ,水野忠夫
- 出版社/メーカー: 集英社
- 発売日: 1971
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収録作品
・「チチコフの遍歴 プロローグとエピローグのある十の断章からなる叙事詩」
ゴーゴリの『死せる魂』のパロディ
・「悪魔物語」
マッチ工場に努める事務員のコロトコフ。
給料の代わりに現物支給になった翌日、工場長から指令を受け取るが、
それを読み間違えてしまい、彼はクビになってしまう。
弁解するために彼を追ううち、悪夢のような世界へと飲み込まれていく……
悪夢世界=不条理なお役所仕事、というのはパターンだけど、この作品は閉塞感よりも妙に狂騒的。
追っているうちに迷宮に迷い込み、そして逆に追われ、ラストはある種の解放。
モスクワが舞台なのに、ぎらぎらした太陽が照っているようなイメージなんだよなぁ。
・「ある中国人の物語」
ソ連の部隊に入った射撃の名手の中国人。
彼は活躍していくが……
・「運命の卵」
世界的な動物学博士ペルシコフが発見した奇妙な赤色光線。
それを蛙の卵に当てると無数に増殖し、さらに成長し、巨大化。
一方、ソ連全土で鶏の疫病が流行り、全滅してしまう。
ソフホーズのロックは、海外から買った鶏の卵を赤色光線で成長させることを考えるが……
当時のソ連の社会情勢を含めて感想を挙げるべきなのかもしれないけど、普通に破滅SFで面白い。
このクリーチャーが増えっぷりがかなりダイナミックで、ソビエトを蹂躙するスペクタクルはなかなか。大戦間の軍備だと勝てない?
脳内ではハリーハウゼン補完(笑)というか、巨大『吸血の群れ』って感じ。
ラストは、外敵からも最終的にはソビエトの大地が勝利する、というは深読みしすぎ?
四本のうち面白かったのは
「悪魔物語」と「運命の卵」なんで、岩波文庫版で十分かな。