SHAMROCK TEA

シャムロック・ティー (海外文学セレクション)

シャムロック・ティー (海外文学セレクション)

『シャムロック・ティーキアラン・カーソン東京創元社 海外文学セレクション〉

「ことによるといつの日か、自分が最初にいた世界へ戻れないともかぎらない。だから、とりあえず今は、そちらの世界について書きつけておきたいと思う」そんな言葉ではじまる手記。キアランは、ある日、仲のいい幼馴染みのベレニスと共に、叔父さんが隠し持っている煙草を吸ったところ、ヤン・ファン・エイクのアルノルフィーニ夫妻の肖像の中に入ってしまう幻覚を体験する。それがきっかけで、全寮制の学校に入学するが、そこで親友となったメーテルリンクと共に図書室で調べ物をしていると……

色彩と聖人たちの逸話に満ちあふれた1冊。
琥珀捕り』のように、前のエピソードを継いで、本筋とは関係のない数ページの章が連続していき、再び戻ってくる。
あらすじよりも、イメージ優先、と思いきや、中盤の図書室から何を読んでいるのかとぞくっとし、予想していなかった酔うような後半の展開へ。
イメージ連鎖と共に、円環構造の物語でもあり、執拗に記された日付とかに仕掛けがありそうな……
実は、『琥珀捕り』は途中で疲れてリタイアしたんで、再読しようかなぁ。