LA NUIT DES GRANDS CHIENS MALADES

『病める巨犬たちの夜』A・D・G〈HPB1337〉

フランスの田舎にキャンプを張ったヒッピーの一団。平和な彼らは、村の住人ともうまくいくが、その翌朝、セビイェ婆さんが殺されているのが見つかる。鍵は家政婦しか持っていないし、人嫌いだが殺されるような動機も見あたらない。そんな中、セビイェ家の墓室を開けると、先代の骨はなく、代わりに10歳ほどの少女の白骨が! さらに仲の悪かったセビイェ婆さんの兄や、村の城に住む男が事件と係わってきて……

殺人事件が起きているにもかかわらず、方言で村人がだべっているだけのモノクロームな前半から、一転、後半はタランティーノ的なバイオレンスに! なると思いきや、やはりのんびり進んで、おしゃれ犯罪風に締め。
殺しの犯人や少女の白骨とか、ぶっちゃけ、どうでもいいような空気が最初から流れていて、本人たちは真面目(?)なんだけど、外からだと詰めの甘い素人演劇を観ているような、でも意外に血なまぐさいという、かなり変なバランスを取っている小説。ラストの突然の告白も、これまたどうでもよくて笑える。