FAREWELL TO THE MASTER

地球の静止する日 (角川文庫)

地球の静止する日 (角川文庫)

映像化されたSFの日本オリジナルアンソロジー
地球の静止する日」と「デス・レース」は読もうと思っていたのでいいタイミング!


・「地球の静止する日」……ハリー・ベイツ
ある日、突然現れた船。そこから降りてきたのは、神のように美しい男と巨人のようなロボット。しかし、彼は狂った男によって暗殺されてしまう。それ以来、ロボットは止まったままなのだが、カメラマンはロボットが動いていることに気づく。
「地球静止する日」の原作。映像見る限りだと、まるで別物(笑)
訪問の理由とか、ロボットが止まっていた理由とかよくわからないんだけど、ラストの一行はしびれるなぁ。


・「デス・レース」……イブ・メルキオー
スピードと途中で轢き殺した人数を競うレース。前回チャンピオンは新記録を狙うが、急に、今までになかった感情が……
てっきり、原作もバカレースものだと思ってたら、けっこう嫌な話なのね。


・「廃墟」……リン・A・ヴェナブル
トワイライトゾーン』原作
会社でも、家庭でも、新聞を読む暇もない男。ある日、地下室でこっそりペーパーバックを読もうとすると、突然激しい衝撃が。外に出ると死体の山と廃墟。彼は図書館に向かうが……


・「幻の砂丘」……ロッド・サーリング&ウォルター・B・ギブスン
トワイライトゾーン』小説化
西部時代、新天地を求めて旅を続ける一行。しかし、水も食料も足りなく、戻ろうという意見が出てきた。リーダーは水場を見つけるため丘を下ると、そこには見たこともない真っ直ぐな道と巨大な怪物が……


・「アンテオン遊星への道」……ジェリイ・ソール
『アウターリミッツ』原作
植民星への片道1年の旅。しかし、これまで乗客の間で暴動が起きていた。今度は何も起きないはずと船長は言うが、船内に仮面の男が現れ、盗みや暴行を働く。乗客たちは武器を取り自警団を組織し……


・「異星獣を追え!」……クリフォード・D・シマック
『アウターリミッツ』原作
逃げられた禁制の地球外生物を追う男。早く捕まえなければ増殖し、地球に危機が訪れかねない。しかし、何かおかしい。彼は、自分の正体に気づき……


・「見えざる敵」……ジェリイ・ソール
『アウターリミッツ』原作
砂漠の惑星。そこでは、探検のベテランがなんの痕跡も残さず行方不明になっていた。今度は大部隊を組織していくが、やはり次々と隊員が姿を消していく。敵の小隊は?
ラストの敵がやってくるビジュアルが、かなりカッコイイ。


・「38世紀から来た兵士」……ハーラン・エリスン
ターミネーター』原型
遠未来の兵士。戦場から突然、現代に飛ばされてきてしまう。未知の兵器を持つ彼に政府は興味を示すが、その製造法などは彼の知識にない。彼の処遇をどうするべきか……


・「闘技場」……フレドリック・ブラウン
『アウター・リミッツ』原型、『宇宙大作戦』原作
侵略者と戦争を始めた地球人類。一人の男が未知の空間で目を覚ます。そこにはもう一人、侵略者の姿も。拮抗した両種族は勝ったとしても疲弊してしまうため、神の如き存在が介入し、片方だけを生き残らせることを決めたのだ。二人で戦い、負けた方が全滅するのだ!


アンソロジーの楽しみは、自分の好きな作品(テーマ)が選ばれていることと、未知の作品、レアな作品が読めること。そういう意味では、この本は、半分以上が雑誌掲載のみと初訳なのでひじょうに満足。
……なんだけど、強烈な既視感!
確実に初めて読むにもかかわらず、1ページ目でオチに気づいてしまうものがいくつか。
たぶん、単発ドラマとか漫画で使われてるんだよね。『トワイライトゾーン』『アウター・リミッツ』は元ネタの宝庫だと再確認。


お気に入りは、「地球の静止する日」「廃墟」「アンテオン遊星への道」「異星獣を追え!」あたり。


我が儘を言わせてもらうなら、「プラン10・フロム・インナー・スペース」も入れて欲しかったな〜(映像化してないじゃん)