THE LOST FLEET DAUNTLESS

『彷徨える艦隊 旗艦ドーントレス』ジャック・キャンベル〈ハヤカワSF1686〉
ミリタリーSFはあんまり好物でないんだけど、いちおう着手。

救命ポッドで宇宙を漂流していたギアリー大佐は救出されて愕然とする。彼は100年もの間冷凍睡眠で漂っており、いまだに戦争は続いていたのだ。しかも、自身を犠牲にして味方を救った英雄として伝説と化していたのだ。彼を拾った艦隊は、敵の本拠星系に深く入り込んで大敗していた。ギアリーが司令長官を任されることとなってしまい、彼は崩壊しつつある艦隊を故郷まで連れ戻すことを決意するが……!

結構面白かったです。
この作品を特徴付けているのが、やはり主人公ギアリー大佐。
ただの普通の軍人に過ぎなかったのに、歴史上の英雄として祭り上げられてしまい、劣勢を救ってくれるはずと、すべてが期待の眼差し。100年前の言動がすべて曲解されて名言になってしまっている。目覚めたばかりなのに次から次へと問題山積みで、おまけに100年の間に、思想も倫理も戦術も変化しており、かわいそ過ぎて笑っちゃう。
100年前の戦術で彼が活躍できる舞台も、それなりにちゃんと説得力を与えられているのがいい。どうやって艦隊が強くなり、理想的な軍隊へと成長していくのか?(存在しないのが一番理想的だけど(笑))
また、ラスト近くで、コテコテのSFガジェットが登場し、これが今後、戦争にどう関わってくるのか期待させられてしまう。
これは続刊が楽しみ。