IN COMPARTMENT 813 AND OTHERS : A SHORT COLLECTION

八一三号車室にて

八一三号車室にて

一昔前のアンソロジーではよく見かけたポージス、日本初の短篇集

 収録作品
・「銀行の夜」Bank Night
・「跳弾」Ricochet
・「完璧な妻」The Perfect Wife
・「冷たい妻」Cool Wife
・「絶対音感」Perfect Pitcher
・「小さな科学者」Match for a Killer
・「絶望の穴」Pit of Despair
・「犬と頭は使いよう」Lester Uses His Head
・「ハツカネズミとピアニスト」The Second Debut
・「運命の分岐点」Two Lunchdates with Destiny
・「ひとり遊び」The Lonesome Game
・「水たまり」Puddle
・「フォードの呪い」The Fanatical Ford
・「八一三号車室にて」In Compartment 813
・「誕生日の殺人」The Birthday Murders
・「平和を愛する放火魔」Fire for Peace
・「ひ弱な巨人」The Puny Giant
・「消えたダイヤ」The Scientist and the Two Thieves
・「横断不可能な湾」The Impassable Gulf
・「ある聖職者の死」Murder of a Priest
・「賭け」The Bet
・「消えた六〇マイル」The Missing Miles
・「悪魔はきっと来る」The Devil Will Surely Come
・「迷宮入り事件」The Unsolvable Crime
・「静かなる死」The Silent Death
・「愛と死を見つめて」Love and Death

好きか嫌いかなら、好みのタイプなんだけど、基本的に「謎→解決」だけの作品がほとんどで、展開も基本的に同じ。調査のシーンを省くためか、安楽椅子探偵が多い。パズルとして余計な付属品がついてないのがいい、と言えばそうなのかも知れないけど……
ジャック・リッチーと同様一度にまとめて読むような作家ではないかなぁ。おつまみのピーナッツをどんぶり一杯食べてる感じ?(笑)


個人的お気に入りは、
・「銀行の夜」
 金を横領している銀行の頭取。
 彼は、それが発覚せず、さらに金も奪う計画を考える。
 軍隊時代の知人を呼び、実行するが……
 皮肉なラストにニヤリ。


・「完璧な妻」The Perfect Wife
 不快な中年女を殺し続ける男。
 あるとき、証拠を残してしまい警察に掴まってしまうが、
 妻がそれを救ってくれたことを知る。その方法は?


・「ひとり遊び」
 子供の頃から、ベッドの中で、違う世界にいると想像する遊びが好きだった女性。
 その朝も、想像に浸っていると……


・「水たまり」
 水たまりは違う世界へと落ちるような気がして、踏めない少年。
 それをいじめっ子に知られてしまうが……
 上の「ひとり遊び」同様、この感覚はわかるなぁ。
 この短篇集で、これが一番気に入った。


・「八一三号車室にて」
 列車で同室になった青年と老人。
 青年は、未解決の宝石事件に居合わせており、老人にその時の模様を話すと……
 傑作パスティーシュとあるけど、確かにラストはひじょうにオシャレ。


・「愛と死を見つめて」
 彫像のある公園にやってきた二人の老人。
 以前、そこは貴族の館で、貴族はその彫像で頭を割られて死んだのだ。
 言い寄られていたメイドに容疑がかかったが、男でも持ち上げられないような彫像で……