Karmesin: World’s Greatest Criminal or Most Outrageous Liar

以前から出るとは聞いていたけど、結局(文庫が売れなくて)ぽしゃったのかと思って諦めていたカームジンものの短篇集がやっと刊行! ボーナストラックとして「埋もれた予言」と「イノシシの幸運日」も収録。

 収録作品
・「カームジンの銀行泥棒」Karmesin
・「カームジンとガスメーター」Karmesin and the Meter
・「カーミジンの偽札づくり」Karmesin and Human Vanity
・「カームジンとめかし屋」Karmesin and the Tailor’s Dummy
・「カームジン脅迫者になる」Karmesin and the Big Flea
・「カームジンの宝石泥棒」Karmesin and the Raving Lunatic
・「カームジンとあの世を信じない男」Karmesin and the Unbeliever
・「カームジンの殺人計画」Inscrutable Providence
・「カームジンと透明人間」Karmesin and the Invisible Millionaire
・「カームジンと豪華なローブ」Karmesin and the Gorgeous Robes
・「カームジン手数料を稼ぐ」Chickenfeed for Karmesin
・「カームジン彫像になる」The Thief Who Played Dead
・「カームジンと王冠」The Conscience of Karmesin
・「カームジンの出版業」Karmesin and the Royalties
・「カームジン対カーファックス」Skate’s Eyeball
・「カームジンと重ね着した名画」Oslamaoa
・「カームジンと『ハムレット』の台本」The Karmesin Affair
・「埋もれた予言」Prophet Without Honor
・「イノシシの幸運日」A Lucky Day for the Boar

好きな作品はいろいろあるものの、「好きな作家は?」と訊かれても、漫画と違ってほとんどの作品を読んでると言うこともないから、ぱっと浮かばないんだけど、考えるとカーシュは好きだなぁ(あとケッチャム)
カーシュでも、異色・奇想系の話より、聞き手を煙に巻く与太話が好み。
その中でも、カームジンは代表シリーズ。
巨体にいがぐり頭、ニーチェ風の口髭という印象的な容貌のカームジン。自称「犯罪の天才」で、莫大な金を手にしてきたと言うが、いつもお茶や煙草をせびっている。私(カーシュ)はほら話だと思いつつも、毎回彼の冒険譚に引き込まれてしまう……
けっこうたわいもない話も少なくなんだけど、カームジンのキャラがやはり魅力的。疑う聞き手に、完全犯罪だから検証不可能と前置きし、自慢と大袈裟で語った最後に煙草をせびる、というパターン。改めて考えると、カイザー・ソゼに近いのか?
異色・奇想短篇はもちろん好きだけど、小咄系も好物としては、ラストで「くすり」はたまらない。カームジンのモデルを描いたカーシュの書簡も収録されてるけど、これがまたホントなのかな〜
お気に入りは、「カームジンの銀行泥棒」「カームジンの宝石泥棒」「カームジンとあの世を信じない男」、奇妙で残酷な拷問を描いた「イノシシの幸運日」あたり。
角川から3冊目を出すなら、「傷跡」は是非入れて欲しい。