CLOSING TIME and Others

閉店時間ジャック・ケッチャム〈扶桑社ミステリー ケ6-9〉
日本オリジナル中篇集
収録作品は4本。


・「閉店時間」Closing Time
 911テロ直後のニューヨーク。
 街では閉店間際のバーを狙った強盗が現れていた。
 そんな中、女性バーテンダーは、別れた恋人との思いを抱いたまま、店に出るが……
 ブラム・ストーカー賞受賞作。どうもピンと来なかった。
 ケッチャムが911にショックを受けて書いたものらしいんだけど、深く読み取れなかったなぁ。
 あとがきにある「喪失がテーマ」というのは分かるような分からないような……


・「ヒッチハイク」The Passenger
 帰宅途中、車が故障した女性弁護士。
 ヒッチハイクで止まってくれたのは、偶然にもハイスクール時代の同級生。
 しかし、彼女の様子がおかしくなっていく上、二人は警官殺しに巻き込まれ……
 オフ・ビートでコミック的、そして笑える(鬼畜だけど)
 主人公以外はモラルがないキャラクターも、サバトのような隠れ家もいいし、ケッチャム作品では珍しく正義(やはり鬼畜だけど)が明示されるのも見所。


・「雑草」Weed Species
 レイプが趣味のカップル。
 しかし、ついに連続強姦殺人がばれ……
 素晴らしいほど、鬼畜で、クレイジーな傑作。
 これは生粋のケッチャマニアも満足できるでしょう。ただ、普通の本好きにはどうだろう? ドン引き?
 こういうのがあるからケッチャムが好きと言いにくいんだけど、たまらなく好きです(笑)


・「川を渡って」The Crossing
 メキシコ戦争直後の西部。
 野生馬を追う男たちのもとに、怪我をした少女が現れる。
 彼女は、地獄のような娼館から逃れてきて、まだ残っている妹を助けに行くと言うが……
 ウェスタンお約束の男気+スプラッタ+鬼畜描写。
 これは普通に面白い。(たぶん)オススメだけど、感覚が麻痺してるので何とも言えない(笑)


どれも傑作だけど、「閉店時間」はもう一度読み込むかなぁ。