2008年8月号

S-Fマガジン 2008年 08月号 [雑誌]

S-Fマガジン 2008年 08月号 [雑誌]

今月は、変な話し好きとしては毎回楽しみなスプロール・フィクション特集IV』
今月からのページが増え、値段も上がる。


翻訳は6本。
・「蟻の王」……ベンジャミン・ローゼンバウム
ベンチャー企業の社長となった青年。
ある日、振られた彼女が蟻の王に掴まっていると知り、助けに行こう以降とするが……
よくあるお伽噺のパターンをそのまま現代に持ってくると、凄い不自然になるという短篇。
ローゼンバウムは好きなんだけど、短篇集は出ないだろうなぁ。
ところで、本編と解説で原題が違うけど、なぜ?
しかも、本編もスペルが間違ってるのかわざとなのか分からないし、データ好きとしては気になる。


・「卵の守護者」……クリストファー・バルザック
頭はいいが、さえない姉の頭からシダレヤナギが生えてきた。
そのうち、彼女はどんどん大きくなり、鳥も集まってくるようになって……
始まりはかなり笑えたんだけど、ラストは違う印象の作品。
『真夏の夜のユキオンナ』 をちょっと思い出した。


・「テトラルク」……アラン・デニー
これは、あらすじがまとめにくい。
ジャズをモチーフにした断章。
音楽に興味ないんで、あまり捕らえられなかった。


・「テオティワカン」……バース・アンダースン
亡くなった母と話すため、義父とともに太陽のピラミッドに登ろうとする少年。
少しでも星に近づこうとする行為、SFの源的な空気が漂う短篇。


・「腸抜き屋」……エカテリーナ・ゼディア
スピリットが発見され、それを機械や道具に注入して円滑に動かせるようになった世界。
そこに、自動車が残酷にも解剖され、内臓がばらまかれる事件が連続する。
はたして、犯人は?
『精霊がいっぱい』を思い出した。
短篇でなく、もうちょい長い話で読んでみたかったかも。


・「眠りの宮殿」……ホリー・フィリップス
強大な魔力を持っていた王を眠ったまま封印している宮殿。
その中は彼の夢が具現化した世界。
エドモンドはそこに唯一は入れる人間だったが、ある日少女がいるのを見つける。
入れ子構造になったいく話かと思いきや、意外に普通だったのでちょっと残念。


いつもに比べると、越境、境界線上、という味は薄く、割とストレートにファンタジーと言えるような作品が多かった。


「大森望のSF観光局」は、野田大元帥とファンジンの思い出。


「デッド・フューチャーReMix」は、フォン・ブラウン
戦争のことはあるけど、それでも、SF的ロマンを感じちゃう人だよなぁ。


「SF挿絵画家の系譜」は、毛利彰
名前は存じませんでしたが、歴史群像の表紙は知ってます。
ホワイト+10色しか使ってないとか。


「サはサイエンスのサ」は、人工知能


「センス・オブ・リアリティ」は、
金子隆一は、胎生と卵生。
香山リカは、秋葉原通り魔事件。


「MAGAZINE REVIEW」は〈インターゾーン〉誌
"Far Horizon"ジェイスン・ストッダード
"The Trace of Him"クリストファー・プリースト
"The Endling"ジェイミー・バラス
が面白そう。


来月は中国SF特集。