モンキー ビジネス「2008 Spring vol.1 野球号」

創刊号なので、取り敢えず買ってみた。

掲載作品
・「野球のダイヤモンド、小説の輪郭」……小川洋子×柴田元幸
・「ヒーローインタビュー もしくは野球はたんなる気晴らしに過ぎないか」……田口犬男
・「Writers On Baseball ――オースター、ノーマン、ファレル」……柴田元幸
・「僕はブラックソックスを覚えている」……ジェームズ・T・ファレル
・「にわとり地獄」……川上弘美
・「血」……シェリー・ジャクソン
・「カニカニンコ」……小野正嗣
・「二月――三月 分数アパート」……岸本佐知子
・「流刑地にて」……西岡兄妹
・「ブーゲンビリア」……バリー・ユアグロー
・「書写人バートルビー――ウォール街の物語」……ハーマン・メルヴィル
・「第七官界彷徨(抄)」……尾崎 翠
・「第七官界で、命がけで遊ぶ」……川上未映子
・「怪物たち」……古川日出男
・「ひとりの男がいた」……ダニイル・ハルムス

いつものように、翻訳ものだけ着手。
・「僕はブラックソックスを覚えている」ジェームズ・T・ファレル
 1919年の八百長事件に関するエッセイ


・「血」シェリー・ジャクソン
 月に一度、大地から湧き上がってくる血。
 それを巨大なタンポンを使って、処理する女性たちの物語。
 変な話なんだけど、それ以上に、男としては居心地悪くなる作品。
 作中にも女性ならではの仕事という表現が出てくるけど、
 この読書感を狙ったのなら、かなり成功していると思う。
 ジェンダー系のアンソロジーにでも載ってそう。


・「ブーゲンビリアバリー・ユアグロー
 バカンスにやってきたやくざ者。
 そこで稼いでいる組織に牽制しようとするのだが……
 意味がわからん。


・「書写人バートルビーウォール街の物語」ハーマン・メルヴィル
 弁護士事務所で雇ったバートルビーという書写人。
 彼は機械のように書写していくのだが、
 確認のための読み合わせはなぜか拒否する。
 そのうち、書写そのものも……
 奇想というより、怪談? いや、なんらかの病気か?
 得体が知れないと同時に哀れみも感じる。
 なかなか良かった。


・「ハルムスの奇妙な世界」ダニイル・ハルムス
 掌編がいくつか。
 「関係」がわりと好みだったかな。


冒頭の宣言は、なんか鼻についたものの(笑)、翻訳ものに限って言うと、奇想・異色系ばかりなので、それなりに読めた。
でも、ちょっと物足りないかな〜。文芸誌ってこんなもの? 精神年齢がお子様なので、記事がないとちょっとつまらない。
ちなみに、シェリー・ジャクソンは、読み終わるまでシャーリー・ジャクスンだと思っていたのは、ここだけの秘密。
季刊らしく、次は7月。買うかどうかは未定。