獣儀式

獣儀式 (幻冬舎アウトロー文庫)

獣儀式 (幻冬舎アウトロー文庫)

あちこちで書評を目にして、是非読みたかった作品!

突如、あの世とこの世の境目がなくなり、地獄の鬼が何万と俗世に現れる。最初は戸惑った鬼たちだが、地獄での行動を続けることにする。町中で殺戮と拷問が繰り返され、死体が山となり、人間たちはブロイラーのように飼われることとなる……

現世で阿鼻叫喚を再現する鬼たち。しかし、生き残った人間たちも乱交を繰り返し、仲間同士で拷問を繰り返す。結局、人間の本性は地獄と変わらず……なんてメッセージは一切考えることなく、ひたすら鬼畜描写を堪能することが出来ます。
鬼畜的には、前半の串刺しや人間の養殖場がひじょうにグロテスクでいいんだけど、物語としては、完全にあの世とこの世が一体化した後半が素晴らしい。やりたい放題で、被虐・加虐趣味が、壊れてもなお延々と続けられる。元々がSM系雑誌で連載されていたからなのか、串刺し願望的な描写がしばしば出てくるけど、これどうなの?(笑)
そして、まさしく『ブラッド・ミュージック』なラスト!
ちなみに、この地獄の話は「狂鬼降臨」という、本の3分の2を占めるオムニバス。
残りは「殺人餓鬼ショートショート」というショートショート集。こちらは「○○ごっこシリーズ」が秀作。
期待に違わぬ一冊。奇書に入る部類だと思うので、そういう意味ではオススメ(読むときは自己責任で)


ただね、「ページを閉じた」とか「胃に来た」みたいな感想を見かけたけど、俺は鬼畜スプラッター描写は平気だなぁ(実写はダメだけど)。むしろ、腐臭・腐汁が口に入る的な臭い系表現が苦手。あと、精神的リンチ・グロテスクの方がよっぽど気持ち悪い。
そんなわけで、個人的には『隣の家の少女』と『異形の愛』の方が『獣儀式』よりも上位ランクです。


あとは『肉の儀式』が読みたいなぁ。譲ってくれるか、貸してくださる方がありましたらお願いします〜