暗殺心

『暗殺心』都筑道夫〈徳間文庫〉

五人の王によって家族を殺され、国を奪われた真晝。彼女は最高の刺客と噂される鹿毛利に復讐を依頼する。二人の旅が始まるが、彼らの前には、異様な技を操る刺客が次々と現れる。復讐は遂げられるのか!?

昨日読んだ『[rakuten:book:10927814:title]』と忍法帖シリーズを足したような作品。
舞台は和風異世界ファンタジーで、敵は山風作品に出てくるような超人忍者。復讐が軸だけど、彼らとの対決がメインだから、王を殺すのはおまけ並みにあっさり。真晝の国が奪われた理由も、5人の王のキャラクターもほとんど描かれない。普通は、因縁とか、守備をどう潜り抜けるかを詳しく描きそうなだけどね。
ただ、この対決が毛色が変わってて、かなり面白い。超忍術に対して、推理で戦うというか。忍法帖と違い、医学的検証はゼロで、その分より超能力めいた技に対して、どうやって対策を取るのかがキモ。最強である鹿毛利が、一番普通の忍者なんだよね。敵の技が見抜けなかったらヤバイと思うけど。
光学迷彩みたいな敵が出てくるんだけど、あの説明だと、逆に見つかりやすくない?


『なめくじに聞いてみろ』よりも技も特異だし、対決も納得いくようにはなってるんだけど、キザでとぼけた味わいは薄くなっちゃってるかな。
それでも、なかなか楽しめました。