SUNSHINE

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『サンシャイン&ヴァンパイア』ロビン・マッキンリイ〈扶桑社文庫マ28-1,2〉

人間とヴァンパイアによる〈ヴードゥー戦争〉から10年。辛くも人間の勝利で終わったが、人口は激減。危険な〈悪しき場所〉が点在し、魔物対策部隊が治安維持にあたっている。とある町に家族経営のコーヒーハウスがあった。そこのサンシャインはパン作りの名人。ある夜、一人で湖にドライブに出かけたところをヴァンパイアたちに拉致されてしまう。連れて行かれた場所には、鎖につながれた別のヴァンパイアが。彼女は餌として捕まったのだ。しかし、コンと名乗るそのヴァンパイアは、彼女を襲わず、さらには、おろうことか二人で協力して、敵に立ち向かうことに!

「心安らぐ恋人がいるけど、けっして結ばれない、心乱される危険な彼……」的なロマンスでありつつ、ヴァンパイアは絶対的に相容れない化け物として描かれているバランスがなかなかいい。ファンタジー存在の現代世界での生活も面白いし、パンは美味しそうだし、リーダビリティもいいんだけど、なんか物足りない。
明らかにシリーズ第1話を意識している〈ドレスデン・ファイル〉、〈魔女探偵レイチェル〉に比べると、ちゃんと完結してるんだけど、裏設定がありそうな思わせぶりがやたらと出てきて、それについては特に語られずに終わっちゃうのは、余韻ではなく、欲求不満を残すだけ。〈苦痛の女神〉とか、メルとかなぁ。しかも、続きが書かれているのかと思ったら、今のところこれだけなのね。〈ヴードゥー戦争〉ってかなり魅力的な設定だと思うんだけどなぁ。
そもそも、なんでコンはサンシャインの血を吸わなかったわけ? もしかして、読み飛ばしてる? これは本当に誰か教えてください。


ファンタジーと現代世界が共存したパラレルものは好物なんだけど、Ifものならではの面白み(お遊び)があまりないのも残念。
まぁ、アーバン・ファンタジーとはうまく言ったもので、舞台が城と荒野から市街と郊外にシフトしただけで、あとは普通に(いわゆる)ファンタジーなんだよね。だから、現代が舞台であることにはあまり重きを置いておらず、他のIfものや『ネバーウェア』における都市のような意味は必要ない。


それなりに楽しめたけど、もう一歩。


ちなみに、ロビン・マッキンリイはピーター・ディキンスンの奥さん。知らなかった……