The Last Command

「最後の指令」キース・ローマー〈『ベストSF1』、『ロボット貯金箱』所収〉
[rakuten:book:12623376:title]に掲載された「ダイノクロム」と同じシリーズということで読んでみた。

空港建設のための作業をしていたところ、その振動で、数十年前に地中深くに廃棄されていた、人工知能を持った戦車《BOLO》が再起動してしまう。間もなく地上に現れ、《BOLO》は市街を敵基地と認識し、まっすぐにそこへ向かっていく。あらゆる兵器は効かず、しかも致死的な放射線を帯びている。はたして、《BOLO》を止めることができるのか?

これは、「ダイノクロム」よりもかなり楽しめた。
地底怪獣もの(ロボット戦車だけど)+『ランボー』といった趣。軍歌のシーンもしびれる。二人の老兵ものとしても読めるかも。
死なず、止まらず、核すら耐える最強の兵士。それが蘇り、危機がすぐそばまで迫っているのに、現場以外の人間は全く実感なく、他人事という態度は、ヴァーチャル化した現在の戦争を連想させる。
ただ、シリーズとしての前後関係がイマイチわからない。「ダイノクロム」の方が時代が後っぽいけど、それとも、そういう歴史的なつながりよりも、主人公にして狂言回しの《BOLO》を中心にした連作として読むものなのかしら?