LARKLIGHT

ラークライト―伝説の宇宙海賊

ラークライト―伝説の宇宙海賊

『ラークライト 伝説の宇宙海賊』フィリップ・リーヴ〈理論社
今年の星雲賞受賞作『移動都市 (創元SF文庫)』のリーヴの邦訳最新作

ニュートンの発明により、大英帝国の進出が太陽系に広がった19世紀。アーサーは、月の近くに浮かぶラークライトで姉のマートルと宇宙生物学者の父と三人で暮らす少年。ある日、ウェブスターと名乗る紳士から訪問の手紙を受け取る。しかし、やってきたのは巨大なクモ! いきなり襲われ、アーサーとマートルは救命ボートでからくも脱出。月に着陸するが、今度はポッターモスに囚われたのを助けてくれたのは、世間を騒がす海賊のジャック・ハボック。しかし、その正体は……。はたして、クモたちの狙いは何なのか? 世界を救うための冒険が始まろうとしていた!

『移動都市』もそうだったけど、こちらはより『天空の城ラピュタ』を想起させる。空飛ぶ船って言うだけで、かなりやられる(笑)
ジュヴナイルなんで、やたらと都合がいいし、展開も速いんだけど、リーヴの作品は、なんといってもそのヴィジュアルとガジェットが楽しいんだよね〜。
機械人形の召使、エッフェル塔のような宇宙港、あらゆる知識を持つ木星入道雲、火星のスパイ、四本腕のイオ人、太陽系をクモの巣でつなぐ種族、ロンドンを暴れる巨大クモロボ……
ヴェルヌのテイストが21世紀風に見事に調理されている。活気と冒険にあふれた宇宙を思う存分満喫できる一冊。