ZOMBIE

生ける屍 (扶桑社ミステリー)

生ける屍 (扶桑社ミステリー)

サンリオ版を読んだので、扶桑社版にも着手(笑)

アパートの管理人をしている31歳のQ・Pは、少年に対する猥褻行為で執行猶予判決を受け、今は保護観察中で、精神科のセラピーを受けている。しかし、彼は自分の言うことをなんでも従順に聞くゾンビを作るため、獲物を物色していた。眼科から脳へ針を通すロボトミー手術を繰り返し、何人も殺していたのだ。そして、彼は、また一人の少年に目を付け、計画を練り始めた……

地元名士の家に生まれ、何事もなく育ち、知能も体格も目立つことなく平均的。だからこそ、そこになんの慰めも見いだせない。淡々とロボトミーを繰り返し、失敗した死体は捨てるだけ。家族を殺すことにもおそらくなんのためらいも見せないはず。しかも、警察も、弁護士も、精神科医も簡単に騙されてしまう。決して、環境ではなく、単に狡猾な連続殺人鬼として生まれただけ、というのは本当に恐ろしい。
環境がすべての要因とは思わないけど、それでも、なんの原因もないことを現実として認めるのは、なかなかしんどいよなぁ。