BEASTS IN VELVET

ウォーハンマーノベル ベルベットビースト (HJ文庫G)

ウォーハンマーノベル ベルベットビースト (HJ文庫G)

『ベルベットビースト』ジャック・ヨーヴィルHOBBY JAPAN HJ文庫ジ01-01-03〉読了
表紙が一緒って、つまらないなぁ。帯も同じだし。
これなら、まだ萌え絵の方がネタとして……

アルトドルフの市街に現れた連続殺人鬼“獣”。女性ばかりを狙い、その遺体は見分けがつかないほど引き裂かれている。犯人の正体は、貴族ともドワーフとも噂されていた。事件を追うのは、大学出ながら警備兵になった若き熱血漢のエルゼッサー、心霊鑑定者ロザンナ、変異した弟を助けた正義の貴族フォン・メクレンベルク男爵、凄腕の警備兵ながら選帝侯の息子を犯人として殺したため左遷させられたハラルドの四人。犠牲者が増える中、いまだかつてないほどの濃霧が街を覆う。帝政打破の扇動家エフィモヴィッチによる暴動が各地で起き、その背後にはティーンチ神の信者が暗躍。そして、“獣”も迫りつつあった……!

切り裂きジャック風の殺人事件を軸に、今まであまり描かれなかった周辺国、革命活動、混沌の神の信者などの思惑が配置され、貴族とは対照的に鬱屈した街の様子など、重層的にウォーハンマー世界を味わうことが出来る。
個人的に、いろんな種族、いろんな国の人間が、過密都市でやりとりするのは好みなんで、3冊の中ではこれが一番面白かった。ちょっと詰め込みすぎで、書き足りない気もするけどね。
ミスディレクションも仕掛けられ、異世界ミステリとしてもそれなりに。犯人の正体も、ファンタジー設定に頼ってないのもいいかなぁ。ただ、ダイイングメッセージはちょっと白けた……。アルファベットが通じるの?
キャラもニューマンの趣味が出てる。犯人逮捕のためには、汚い仕事も権力も容赦しないハラルドは、44マグナムならぬ、マグニン投げナイフの達人って(笑)。酔拳などの使い手チン・ディエンがお気に入り。ちなみに、ジュヌヴィエーヴはゲストキャラ。
ドラキュラ紀元』を彷彿とさせる雰囲気もあって、なかなか楽しめた。


HOBBY JAPANはファンタジーの翻訳物を出してくのかな? それとも、ウォーハンマーもの中心? 〈吟遊詩人オルフィーオ〉シリーズも復刊するのかしら?