The Devil’s Rose and other stories

悪魔の薔薇 (奇想コレクション)

悪魔の薔薇 (奇想コレクション)

『悪魔の薔薇』タニス・リー河出書房新社 奇想コレクション〉読了
全篇初訳。

収録作品
・「別離」Nunc Dimittis
・「悪魔の薔薇」The Devil’s Rose
・「彼女は三(死の女神)」Elle Est Trois, (La Mort)
・「美女は野獣」Beauty Is the Beast
・「魔女のふたりの恋人」Deux Amours D’une Sorciere
・「黄金変成」Into Gold
・「愚者、悪者、やさしい賢者」Foolish, Wicked, Clever and Kind
・「蜃気楼と女呪者」Mirage and Magia
・「青い壺の幽霊」Blue Vase of the Ghosts

タニス・リーはあんまり好きじゃないんだけど(数も読んでないけど)、奇想コレクションから出たということで、読むにはいい機会。


う〜ん……
やはり、苦手……
お耽美な趣味がどうも受け付けない。女の我がままだけで進む話ばかりで、それも趣味じゃないなぁ(これがダメだとリーは致命的か)。
それに、『アラビアン・ナイト』がルーツと言われているように、あくまで伝説、昔話的な定型を取っていて、嫌いではないんだけど、変な話・奇妙な話を期待していると、その辺がちょっと退屈。


そんな中で、そこそこ気に入ったのは、
・「別離」
 永遠ともいえる時間を生きる女吸血鬼に仕える執事。
 彼は自分の命がもう少しで尽きることを悟り、自分の後任を町に探しに行く。
 執事とお嬢様もので、その筋にはいいんじゃないでしょうか?(笑)
・「悪魔の薔薇」
 大雪で、小さな町にとどまることになった男。
 そこの教会には、サタンが娘を連れ去る伝説があり、
 それを信じている少女は、彼のことを自分を迎えに来たサタンだと考える。
 彼は、彼女の部屋に忍び込み……
 これが一番“奇妙な話”っぽかったかな。
・「美女は野獣」
 腐敗した街。
 そこの権力者を殺すため、自らを犠牲に忍び込んだ美女。
 見事、達成するが……