LE PASSE‐MURAILLE ET LE VIN DE PARIS

『壁抜け男』マルセル・エイメ〈早川書房異色作家短篇集11〉読了

収録作品
・「壁抜け男」Le Passe-muraille
・「カード」Le Carte
・「よい絵」La Bonne Peinture
・「パリ横断」Traversee de Paris
・「サビーヌたち」 Sabines
・「パリのぶどう酒」 Le Vin De Paris
・「七里の靴」 Les Bottes De Sept Lieues

以前読んだ『クールな男』に比べると、はるかに奇想要素が強くて、非常に好み。
お気に入りは、
・「カード」
 食料制限のため、老人や芸術家など、社会に貢献していない者にはカードが配られ、
 1ヶ月間で、そのカードの枚数に日にちだけ、生きていられるのだ。
 最初はひどい政策だと憤るが……
・「よい絵」
 とある貧乏画家。
 しかし、ある日、彼の絵は見ているだけで栄養が摂れる作品だと言うことが判明。
 それにより、様々な社会現象が。
・「サビーヌたち」
 いくらでも分身を作り出すことができるサビーヌ。
 彼女は様々な男と恋をするため、どんどん分身し、何千何万と増えていく……
・「パリのぶどう酒」
 義父と仲が悪い男。
 ある日、彼が酒瓶に見えてきて……


個人的には「カード」がベスト。
全く想像していなかった方向に話が転がっていくのがたまらない。
あとは「パリのぶどう酒」かな。
前半の力の抜き具合と、ラストの凶行が素晴らしい。