CAMOUFLAGE

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『擬態−カムフラージュ』ジョー・ホールドマン早川書房 海外SFノヴェルズ〉
ホールドマン久々の翻訳! 
ネビュラ賞ティプトリー賞受賞作。

2019年、海洋技術会社のポセイドン・プロジェクツのラッセルは、ハリバートン提督から奇妙な依頼を受ける。太平洋の深海で見つかった謎の物体を密かに調査したいというのだ。百万年以上前から存在していたと思われる卵形の物体を、サモア島に引き上げる。しかし、それはあらゆる方法を使っても、傷一つつけることができなかった。そのニュースを知り、プロジェクトに潜り込もうとする人物がいた。百万年前、M22星団からやってきた〈変わり子〉。それは不死で、あらゆる生物・非生物に変身が可能。しかし、自分がなんなのか、どこから来たのか記憶は薄れ、それを取り戻すのに物体が手がかりになると直感したのだ。若い女性に変身し、チームに入り込む。しかし、もう一体、異星生命体〈カメレオン〉も物体を我が物にしようとしていた……

最近の分厚くて、情報過多なニュー・スペオペに比べると、安心してしまうほど、オーソドックスなSF。非常にリーダビリティもよく、さくさく読めてしまいました。
前半は物体との交信、後半は〈変わり子〉の女性としてのアイデンティティ、と言うのが大まかな構成かな。ティプトリー賞を受賞していると聞けば、わかるでしょう。愛を理解していく過程とかメロメロで意外に嫌いじゃないんだけど、どうして女性の姿をとったのか、理由がもうちょい欲しかったところ。
ヴィジュアル的には「コクーン」+「寄生獣」。SFらしいSFで面白かったけど、正体がわかってからもう少し膨らまして欲しかったのと、〈カメレオン〉のパートをもっと欲しかったかなぁ。