The Girl Left Behind Me and Other Stories

『棄ててきた女』若島正・編〈早川書房 異色作家短編集19〉読了
異色作家短編集のアンソロジー・イギリス篇。

収録作品
・「時間の縫い目」……ジョン・ウインダム
・「水よりも濃し」……ジェラルド・カーシュ
・「煙をあげる脚」……ジョン・メトカーフ
・「ペトロネラ・パン――幻想物語」……ジョン・キア・クロス
・「白猫」……ヒュー・ウォルポール
・「顔」……L・P・ハートリー
・「何と冷たい小さな君の手よ」……ロバート・エイクマン
・「虎」……A・E・コッパード
・「壁」……ウィリアム・サンソム
・「棄ててきた女」……ミュリエル・スパーク
・「テーブル」……ウィリアム・トレヴァー
・「詩神」……アントニイ・バージェス
・「パラダイス・ビーチ」……リチャード・カウパー

個人的には、アメリカ篇よりも面白かったかも。
お気に入りは、
・「水よりも濃し」
 気弱で、意気地のない男。
 金持ちだが、意地悪でケチなおじさんが仕送りを減らすという。
 その彼の殺害方法とは?
 「飲酒の弊害」もそうだったけど、なんか医学を小馬鹿にしているようなのは気のせい?
・「ペトロネラ・パン――幻想物語」
 赤ちゃんコンテスト好きの友人を訪れた、子供嫌いの男。
 いつものようにコンテストの最中。
 そこに、彼さえも目を奪われる美しい赤ん坊がいたのだが……
・「何と冷たい小さな君の手よ」
 間違い電話の相手に恋してしまった男。
 彼女からの電話がいつくるかと、仕事も手につかない。
 彼はどんどん衰え……
 伊藤潤二を漫画を思い浮かべてしまいました。
・「壁」
 空襲で、立て続けの消火作業をする消防士たち。
 そこ巨大な壁が崩れ落ちてくるのだが、全てが制止したように見え……
・「棄ててきた女」
 会社帰りの女性。
 どうも、何か大事な仕事を忘れてきたような気がして、落ち着かない。
 意地悪な話だな〜
・「テーブル」
 新聞で売りに出されていたテーブルに目をつけた骨董商。
 さっそく買い取るが、すぐに、売り主の夫から買い戻したいと連絡が入る。
 同じ広告を見た女性が買いたいと言っているらしい。
 言い値で売ると、今度は最初の売り主から……
・「詩神」
 ある種のタイムマシンによって、シェイクスピアの正体を調べに来た研究者。
 しかし、その世界の人間の体には……
 なんか、ゲイマンかスロトスの短編のような感想。


特に、「ペトロネラ・パン――幻想物語」「棄ててきた女」「壁」が好きかな。