His Own Kind and Other Stories

『狼の一族』若島 正・編〈早川書房 異色作家短編集18〉読了
異色作家短編集、期待の新アンソロジー! アメリカ篇。

収録作品
•「ジェフを探して」……フリッツ・ライバー
•「貯金箱の殺人」……ジャック・リッチー
•「鶏占い師」……チャールズ・ウィルフォード
•「どんぞこ列車」……ハーラン・エリスン
•「ベビーシッター」……ロバート・クーヴァー
•「象が列車に体当たり」……ウィリアム・コツウィンクル
•「スカット・ファーカスと魔性のマライア」……ジーン・シェパード
•「浜辺にて」……R・A・ラファティ
•「他の惑星にも死は存在するのか?」……ジョン・スラデック
•「狼の一族」……トーマス・M・ディッシュ
•「眠れる美女ポリー・チャームズ」……アヴラム・デイヴィッドスン

うーん。
すべて本邦初訳というのは本当に嬉しいし、みんないいんだけど、イマイチ、ガツンと来る作品がなかったかも。
お気に入りは、
「貯金箱の殺人」
少年から意地悪な大叔父を27ドル50セントで殺してくれと頼まれた助教授。
彼の母親は自分の授業を取っていて、大叔父のせいで大学を辞めざるを得ないらしい。
とりあえず、説得してみようとするが、その直後、大叔父が殺されてしまう!
ラストがかわいらしい。まぁ、いつものリッチーです。
「どんぞこ列車」
落ちぶれた元バンドマン。
貨物列車で旅を続けているのだが、
ある夜、駆け落ちしてきた若いカップルが乗り込んでくる。
青年は殺し、少女は犯そうとするが……
結構好きなんだけど、普通かも。
「ベビーシッター」
ベビーシッター、彼女を雇っている家の主人、その家の子供、ベビーシッターの彼氏、
それぞれの妄想(現実?)がカットバックでモザイクのように映し出される。
覗き見を覗き見、というか、かなりエロエロです。
「象が列車に体当たり」
これはあらすじが書けない……
題名まんまの話。いい味してる。
「スカット・ファーカスと魔性のマライア」
ガキ大将スカットは喧嘩コマの残酷なチャンピオンだった。
彼に勝つため特訓し、特別なコマを捜し求める。
これが一番の当たりか?
「少年時代の一瞬の魔法」もの。
「浜辺にて」
珍しい貝を拾った鈍い少年。
その貝と一緒だと、彼は聡明。
だんだんに貝に似てきた彼は……
これもあらすじ書くのが意味ないような話(笑)
なかなか楽しかったです。


今後、旧版の『壜づめの女房』はさらに古書価が上がるでしょうけど、ぶっちゃけ、この表題作、つまらないですよ。
収録作もほとんど雑誌で拾い読みできるし、無理して買うことはないと思います。
俺も探すのやめました。安く売ってたら買っちゃうけど(笑)