BOY’S LIFE
- 作者: ロバート・R.マキャモン,Robert R. McCammon,二宮磬
- 出版社/メーカー: 文藝春秋
- 発売日: 1999/02
- メディア: 文庫
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COCOさんの感想を読んで着手。
1964年、アメリカ南部の小さな町に暮らす12歳のコーリー。
川には怪獣が住み、道路には幽霊カーが現れ、100歳を超えている黒人の魔女やワイアット・アープを助けたという老ガンマン、不思議な力を持った自転車など、町は魔法にあふれていた。
初恋、喧嘩、親友たちとのキャンプ、冒険の毎日。
ある朝、牛乳配達員の父を手伝っている途中、殺人事件を目撃してしまう。
その残酷な仕打ちに父は精神的に打ちのめされ、コーリーは犯人探しをするが……
子供のときに体験した魔法は、大人になってから考えれば、想像力で上書きされていった記憶だと気づくだろう。今となってはどれも証明できない。……いや、あのときの魔法は、あのとき実際にあったことなんだ。
郷愁と魔法を同時に味わうことができる一冊。
相棒の自転車を飛ばしたり、嫌われ者のクラスメートへの誕生日カードなど、ハッと頭を掠める様々な記憶。
そういう意味では間口が広いけど、しかし、これはジャンル小説読みでよかったなぁ、という作品でしょう。
SF、怪奇、探偵、冒険、西部劇、フリークとジャンル物のエッセンスが詰まっている。
おそらく、幼少期からこの手のものに親しんできた読者ならば、確実に何かしら引っかかるはず。
小説家の私の少年時代というあらすじだけだと『スタンド・バイ・ミー』っぽいんだけど、それより映画版『ビッグフィッシュ』に近いものを感じたかな。
泣き所は多いんだけど、個人的には、キャンディスティック・キッドのエピソードがベストかな。メインの話でなく、ちょっとだけなんで1GF*1はないけど、涙腺直撃。
あと、ラストの怪獣かなぁ。
それと映画を見に行った夜のやりとりもいいなぁ……。怖かった素振りを親に見せてはいけないっていうのはよくわかる。
かなり前に出た小説なんですが、未読のジャンル者がいたら、是非オススメ。
*1:GF=グリーンファルコン。虐げられし者、落ちぶれたヒーローが立ち上がるシーンでの涙の値。ちなみに『ビッグフィッシュ』のラストは10GF