CHASM CITY

カズムシティ (ハヤカワ文庫SF)

カズムシティ (ハヤカワ文庫SF)

『カズムシティ』アレステア・レナルズ〈ハヤカワSF〉読了
この分厚さは、ネタとして買ってしまいたくなる(笑)
読んでる最中、真ん中から二つにもげるかと思った。
七王国』を五分冊するなら、こっちも分けてよ。

暗殺者であり、身近警護の専門家でもあるタナーは、雇い主夫妻を惨殺したレイビッチに復讐するため、彼を追って、スカイズエッジ星から遠く離れたイエローストーン星に到着した。
しかし、そこには、“融合疫”によって、建築物や機械が複雑に融合し、植物のように成長したカズムシティが広がっていた。
貴族であるレイビッチの手がかりを求め、上層階級の暮らす天上界を目指すタナーだが、逆に、彼らの人間狩りゲームの標的にされてしまう。
ハンターを迎え撃ちながら、レイビッチを探すタナー。
一方、彼は異様な夢を見るようになっていた。
布教ウイルスに感染したらしく、それはスカイズエッジ星で信仰の対象になっているスカイ・オスマンの夢で、一般に語られているよりも遥かに詳しい内容だった。
徐々にその記憶に浸食されていくタナー。
夢の正体? カズムシティに流通する麻薬の真相は?
そして、復讐は果たされるのだろうか?

雰囲気は、映画『ブレードランナー』か『オルタード・カーボン』っぽいかと思ったけど、ちょっと違うか。
全ての問題がラストで一つに収束していくんだけど、特に爽快感はあまりなく、どうせなら、“融合疫”の変異した街の様子とか、ヴィジュアルをねちっこく描写して欲しかった。
そういう意味では、やはりストロスの方がオタっぽくて好み(笑)
堆肥界の雰囲気は『銃夢』のクズ鉄町みたいで凄い好みだったんで、あの世界をもっとかけずり回る様子が見たかったな。


啓示空間 (ハヤカワ文庫SF)』と同じ宇宙史に含まれる作品だけど、特に繋がりはなく、独立した作品。
ラストにカメオ出演があるけど、あくまでおまけ。
ところどころ名詞は覚えてんだけど、細かい関係が全く記憶なし。
ウジ虫とか、機会生命体とかって、前に出てきたっけ?
啓示空間を作った種族とは別物?


編集者に言われて倍の長さに増やしたらしいけど、これは半分で良かったよ。
分厚さの割には、イマイチ読み応えが薄い。
まぁ、面白かったんだけど、復讐のために追いかけてるのに、スピード感が感じられなかった。
とにかく重い。電車で読むのが一苦労。ページ単価はお買い得だけど(笑)


3巻も翻訳予定で、その前にオリジナル短篇集が出るそうです。
ここは、ネタ的に、やはり分厚い短篇集でしょう(笑)

他の方の感想
http://d.hatena.ne.jp/ytsutomu/20060803
http://d.hatena.ne.jp/nego10/20060806#p1