MARS CROSSING

火星縦断 (ハヤカワ文庫SF)

火星縦断 (ハヤカワ文庫SF)

『火星縦断』ジェフリー・A・ランディス〈ハヤカワSF1562〉読了
NASAの現役科学者作家によるハードSF。

2028年、第三次有人火星探査隊6名が着陸に成功。
しかし、着陸早々帰還船が故障し、さらに隊員も一人死んでしまう。
地球に帰る方法はただ一つ、6000キロ離れた、第一次探査隊の帰還船まで火星を縦断することだけ!
しかし、そこまで辿り着いても、全員が帰還することは絶対に不可能なのだった……

同じくランディスの『日の下を歩いて』の長篇・火星版、といったところ。
さすが、実際に携わっているだけに、火星の描写は細かく、
夢も希望も絶望もなく、単に踏破すべき地形として描かれているのは、なかなか目新しいかも。


5人の隊員の人生とそれぞれの思い、と火星での様子が交互に描かれている。
ドラマチックな展開も特になく、ただひたすら帰還船を目指して歩き続けるだけ。
まぁ、1テーマで、飽きさせずに読ませちゃうのは凄いけどね。
別に毎回読後のサプライズを求めているわけじゃないんだけど、
可もなく不可もない、普通のSFでした。
この手のサバイバルジャンルは、
「こいつがここで死んじゃうの!?」とか、
「裏切り者が!?」とか、
「地球に帰れるのは誰?」とか、あるものだけど、
どうもそこまで感情移入するほど、キャラクターが好きになれなかったんだよなぁ。
唯一、くじで火星行きが当たったトレヴァーは面白かったけど。
けっこうさくさく読めちゃいます。