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策謀のイェンディ―暗殺者ヴラド・タルトシュ (ハヤカワ文庫FT)

策謀のイェンディ―暗殺者ヴラド・タルトシュ (ハヤカワ文庫FT)

『策謀のイェンディ』スティーヴン・ブルースト〈ハヤカワFT〉読了
ヴラド・タルトシュ・シリーズ第2作。
前作の『勇猛なるジャレグ―暗殺者ヴラド・タルトシュ (ハヤカワ文庫FT)』がひじょうに面白かったので、続きかはどうだったかというと……

ラリスがヴラドの縄張りに店を出してことにより、両者間で抗争が起きる。
しかし、ヴラドの財源はまだ乏しく、こちらのことは筒抜け。
そして、ついに、凄腕の二人組みの暗殺者の手に係り、ヴラドは殺されてしまう。
運良く駆けつけたアリーラによって蘇生したものの、ラリスの居場所はまるでわからない。
敵の探索を続ける中、事件の背後に、帝国の帝位継承を巡る陰謀が明らかになってきた!

うーむ。面白い!
前作で、世界観やキャラクターについては説明が済んでいるから、すんなりと物語に入れるし、
ヴラドの腹心であるクレイガーとロイオシュの造詣もかなり豊かになっている。
それでも、やはり思わせぶりな事件や名前が言及されていて、続編に期待を持たさせる。


時系列は前作の1年前。
今回はマフィアのような組織間の抗争が描かれる。
ここまで金の支払いと時間を気にするファンタジーもないでしょ。しかも、街中しか出てこないし。
異世界ファンタジーというより、異世界ハードボイルドなんだよね。


このシリーズの魅力は、世界観や出し惜しみしてオタク好きする設定もさることながら、
ヴラドがこれまでに集めた情報から全容を解き明かし、敵を倒すための作戦を立てるところと、
仲間は一人一人、達人レベルに強いんだけど、それでも一人で行動したのでは事態の解決にはならず、
適材適所に配置したチームプレイで作戦を成功させるところ。
ミステリとかサスペンスじゃよく見られるけど、
それがファンタジーにうまく組み込まれている。


ソーセージが旨そう(笑)


3巻は7月発売予定。
楽しみ。