THE ISLAND OF DOCTOR DEATH AND OTHER STORIES AND OTHER STORIES

デス博士の島その他の物語 (未来の文学)

デス博士の島その他の物語 (未来の文学)

『デス博士の島その他の物語』ジーン・ウルフ国書刊行会未来の文学〉読了
日本初のジーン・ウルフ短篇集。
しかも、翻訳って、これで(やっと)6冊目なんだよねぇ。少ない……

 収録作品
・『まえがき』Foreword
・『デス博士の島その他の物語』The Island of Doctor Death and Other Stories
・『アイランド博士の死』The Death of Doctor Island
・『死の島の博士』The Doctor of Death Island
・『アメリカの七夜』Seven American Night
・『眼閃の奇蹟』The Eyeflash Miracles

『デス博士の島その他の物語』は以前読んだときは特に何も思わなかったんだけど、
今回再読して、これはいいなぁ。
「読む」という行為の、意識の拡張が見える作品。素晴らしい。
授賞式での事件は笑える。


『アイランド博士の死』はアサイラム的な痛々しさ、攻撃性を感じる。
『デス博士の島その他の物語』の続いていない、続編。


『死の島の博士』は個人的にはイマイチ。
えっ、おしまい!? って感じかな。
デス博士三部作のトリ。


アメリカの七夜』は、雑誌に載ったときに何度か頁を行き来して、
今回も読み返したんだけど、
やはり、いつ幻覚お菓子を食べたのかわからん。
これ、注意深く読めば分かるの? それとも、わからずじまい?
初日のような気もするけど、ラストの記述も気になる。
失われたページも……


『眼閃の奇蹟』は、視るという意味を描いた作品。
盲目の主人公にとって、現実が見えないことと、幻想世界が見えることは等価。
突然、前置きなく幻視の記述が始まるため、読んでて酔いそう(笑)
ラストの三人で旅に出るシーンはかなり好き。


そういう作品を集めたのか、「読む」「視る」というのがテーマになった作品ばかり。
個人的には『アメリカの七夜』がイチオシかな。
『まえがき』もかなり面白いので、読み飛ばさないように。

参考
『アメリカの七夜』の解説サイト

他の方の感想
paraseleneさん
Wandererさん
石一朱さん