ENGINE SUMMER

エンジン・サマー

エンジン・サマー

『エンジン・サマー』ジョン・クロウリー福武書店〉読了
mixi福武書店関係で集まるので、急いで読むことに。
まぁ、『ナイチンゲールは夜に歌う』はけっこう面白かったから、
いずれは読もうと思ってたんで、いい機会でした。
リトル、ビッグ〈1〉 (文学の冒険シリーズ)』はどこにあるんだ……

〈嵐〉と呼ばれる大破壊後の、はるか未来のアメリカ。
機械文明は崩壊し、その知識もなくなっていたが、人々は平和に暮らしていた。
集落の一つ、リトルビレアに暮らす〈しゃべる灯心草〉は、謎や物語が大好きな少年。
彼は、“聖人”になるべく、リトルビレアを後にし、冒険の旅に出る。

なんと言っても、題名が素晴らしい。
聞いたことのない単語で、しかも未来なのに、どこかノスタルジーを感じさせる。
そして、情景。
靄のかかった冷たい空気、針葉樹や河といった北米の自然に飲み込まれた道路や建造物。
一方、部屋が幾つもくっついてできているようなリトルビレアの暖かい集落。
文明の崩壊の原因や〈連盟〉、〈聖人〉が何を差すのかは、もはや口承と化しているため、詳しくはわからない。
でも、だからこそ、儚い美しさをたたえた作品。
途中に出てくる、スライドをどんどん重ねていくシステムが、この作品を表しているような気がする。


現代の文明が失われて、その知識や発音が間違って伝えられている遠未来ものは、かなり好み。
海外の遠未来SFっていうと、『地球の長い午後 (ハヤカワ文庫 SF 224)』がまず思いつくけど、
なぜか『宝石泥棒 (ハルキ文庫)』とか『風の谷のナウシカ [DVD]』のイメージが頭に浮かんだ。
あそこまで崩壊してないし、怪物とか出てこないんだけどね。