THE SHAPE-CHANGER'S WIFE

魔法使いとリリス (ハヤカワ文庫FT)

魔法使いとリリス (ハヤカワ文庫FT)

『魔法使いとリリスシャロン・シン(ハヤカワFT)読了。


プラチナファンタジー第1弾!
最初は古本で買うつもりだったんだけど、
3弾目から新刊で買い始めたので、こちらも新刊で。


シャロン・シンの作品はこれが初訳かな?


優秀な若き魔法使いオーブリイは、世界一の変身術師グライレンドンに弟子入りする。
そこには、リリスという、グライレンドンの若い妻がいた。
魅力的だが、全くの無表情。
厳しく、家を空けがちの師匠のもとで、変身術を覚えて行くオーブリイ。
そんな中、彼は徐々にリリスに惹かれていく。
そして、無感情な彼女も少しずつ変わっていくが、
オーブリイは彼女の正体と、グライレンドンの冷酷な人間性に気づく……


プラチナファンタジーの刊行は、
今現在のファンタジーがほとんどエピックファンタジーやヒロイックファンタジーであることに対して、
ファンタジーの多様性を紹介する、という感じで始められた。
その割りに、第1弾はけっこう普通のファンタジー
というか、昔のハヤカワFTにありそうな作品。


オーソドックスだけど、それゆえしっかりとファンタジーを読んでいると言う満足感。
変なアレンジなく、真っ当に中世ヨーロッパ風の世界。
何より、森の情景と存在感が素晴らしい。
やはりファンタジーは森だよなぁ。
昔話なんか見ててもわかるように、和製ファンタジーだと、なぜか森は重要視されない。
中世ヨーロッパ風ファンタジーなら、森を描かないとね。
魔法理論は現在のファンタジーっぽく、ひじょうに科学的。好み(笑)


エピローグがかなり好きで、ファンタジーのエピローグとしてはお手本かな。
渋いナレーションが聞こえてきそう。
なかなかオススメ。