THE PRESTIGE

『奇術師』クリストファー・プリースト(ハヤカワFT)読了。


記者のアンドルーは幼い頃、今の両親の養子となった。
彼はずっと双子の共感のようなものを感じながら育ってきた。
成人してから調べてみても、自分には双子は存在していなかった。
ある日、取材と偽られてケイト・エンジャなる女性に呼ばれる。
実は彼らの祖先の、ボーデンとエンジャは19世紀に現れた天才奇術師で、
二人は瞬間移動の手品で名を馳せていた。
お互い技量を認め合いながらも、憎み合っていた間柄だったのだ。
しかも、アンドルーの双子の共感はそこに原因があるらしいのだが……


アンドルーの双子の正体は?
ケイトが幼い頃見たものは?
二人の間に起こった悲劇は?
二人の奇術師の手品の正体は? 


非常に面白かった。
これが訳されただけでも、プラチナファンタジィシリーズ刊行の役目は果たしたというもの。
SFのような、ファンタシーのような、ミステリのような、
それでいてどれでもない、まさに奇想小説のお手本のような作品。
入れ子構造になっていて、
一番内側がボーデン著の奇術本。
その外側が、エンジャの日記。
さらに一番外がその読者のアンドルー。


読み応え十分。
手品のタネに迫っていくようなドキドキ感もなかなかのもの。
大いに満足。
……なんだけど、ボーデンの瞬間移動のタネってなに?
書かれてるのに気づかなかっただけ?
それとも、手品としてタネは最後まで秘密ってこと?
あとがきに書かれていたのかその正体?(というわけであとがきは最後に読むように) 
そうだと、はっきり証明された文章ないよね?
それとも、全てがイリュージョンなのか……
誰か解説して。もう一回読むかなぁ。


大いにオススメ。


クリストファー・ノーランで映画化されるそうだ。