『陰摩羅鬼の瑕』
- 作者: 京極夏彦
- 出版社/メーカー: 講談社
- 発売日: 2003/08/09
- メディア: 新書
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婚礼が行われるたびに花嫁が死ぬ鳥の館。そこで、5度目の婚礼がまた行われようとしていた……
というのがミステリーのベース。これに、今回は生死と存在、日本における儒家思想が語られる。
個人的にはシリーズで3番目くらいに好きかも。
一方から見れば異常(不思議)なことでも、もう一方からはそれは常識であり、
その常識に則った行動をしている本人としては、何がおかしいのかまるで認識できない。
その溝を埋め、異常(不思議)でなくしてしまう京極堂の機能が、
『姑獲鳥の夏』ぶりに、思う存分発揮されているような気がする。
だから、「不思議なことなど何もないのです」という台詞が効いていた。
関口もメインとなってるし、何より姑獲鳥論が語られているから、作者も第1作を意識したのかも。
ただ、妖怪っぽさは弱かったかな。
前回があれだっただけに、今回はどれほどの厚さかと思ったら、割と普通(十分尋常じゃないんだけど)
だいぶ前でほとんど忘れてる『塗仏の宴』に出てきたボスキャラが出て来るんじゃないかとひやひやしたけど、今回は出番なしで一安心。
それとも、今回はわりとオーソドックスだったから一区切りで、次回に登場?
ところで、最後までわからなかったのが、伊庭刑事。これ誰? どこに出てきたの? 外伝?
京極夏彦って、新しい妖怪論文が思いついてから執筆始めるのかな?(笑)