今月のSFマガジンは非英語圏SF。


掲載作品は
・『日の沈む国で』……エウゲーニイ・ユーリエヴィッチ・ルキーン
・『クレ』……ナターシャ・ボリュー
・『暴風監視官』……マルクス・ハマーシュミット
・『アッシャ』……遥控
・『或る王朝の最期、もしくはフェレットの博物誌』……アンヘリカ・ゴロディッシャー


ロシアの『日の沈む国で』
経済を流動させるために、仕事中毒者は治療院に送られてしまうロシア。
主人公は買った釘抜きを仕事時間外に試してしまったため、捕まってしまう。
治療院とはセックス治療を行う場所なのだが、仕事中毒者は全く欲情できないのだ。
初犯だった主人公は入院はされず、家に帰される。
親友から色々と忠告を受けるのだが、
やはり我慢できずこっそり拾ってきた板きれにカンナを入れる。
そのとき、ドアが激しくノックされ……
カンナで削っている時にハァハァするのがイイ!
古本ヲタクも似たようなもかんかも(笑)


フランスの『クレ』
激しい雨の日、クレという名の男と出会う。
愛し合う二人だったが、ある日、彼は眠ったまま動かなくなってしまう。
その体を探すと、耳の後ろに鍵穴があり、もらった鍵を差し込むと目を覚ました。
それが続き、鍵穴の場所も常に変わる。
そして徐々に彼の体も変わりつつあった……
正直言って、よく分かりません。
SF、じゃあないよなぁ。
幻想譚かな。


ドイツの『暴風監視官』
惑星アンタイオスには無尽蔵の水素がある。
しかし、そこは常に激しい嵐が吹き荒れており、監視員が必要なのだ。
監視員は初めて発見された地球外生物である、袋状の生物を利用して、そこを監視場所にしている。
孤独な仕事だが、監視員たちは、その生物が語りかけてくると言う……
現実なんだか空想なんだか、それとも、その空想自体が現実となっているのか、そんなところがイイ感じ。


中国の『アッシャ』
近未来。
人々は常にお互い慈しみ、愛し合う二人組となって生活していた。
ペアは30ほど年齢が離れている。
無論、それだけ離れていれば、ほぼ確実に片方は先に他界する。
主人公たちも例外ではなく、死が訪れる。
一人残され絶望する。しかし……
これ、幸せなんかなぁ。
中国は生まれ変わりものとか多いそうだ。


アルゼンチンの『或る王朝の最期、もしくはフェレットの博物誌』
『帝国の永劫』という、年代記シリーズの一編。
今回載ったのは、
あらゆる言動が儀礼化された王宮の、最後の皇帝の物語。
少年時代、二人の放浪者と出会ったことによって、彼は変わった……
ル=グィンが惚れこんだというこのシリーズ。
邦訳された読みたいかも。